氷彫刻とは

氷彫刻の起源は明確ではありませんが、過去の冷たい地域での宴会や祭りで氷や雪を用いた装飾が行われていたとされます。19世紀に入ると、アメリカやヨーロッパのホテルやレストランで、食品のプレゼンテーションとして氷彫刻が用いられるようになりました。
20世紀に入ると、氷彫刻はアートとしての地位を確立し、氷彫刻のコンテストやフェスティバルが多くの国で開催されるようになりました。

今では世界中の多くの都市や地域で氷彫刻のフェスティバルやコンペティションが開催されています。特に冷涼な地域では、冬のアトラクションとして大規模な氷彫刻のイベントが行われます。例として、日本のさっぽろ雪まつり、中国のハルビン国際氷雪彫刻祭、アラスカのアイスアートチャンピオンシップなどが挙げられます。

平ノミ

平ノミは氷彫刻において不可欠な道具の一つで、幅の違う20mm前後のものから90mm位までが主流で、氷の大きな部分を削り取ったり、形を整えたりするのに使用されます。また氷彫刻の細かい仕上げ作業にも使われます。

三角ノミ

三角ノミはその名の通り刃が三角形をしています。氷彫刻制作を始める際デザインを三角ノミを使って氷の表面に線を入れ、どこまで粗彫りをするかなどを決めます。また仕上げでは羽根の線などを入れるときに、角度を変えることで異なる幅の線を作ることができ表現の幅が広がります。氷彫刻の細部を仕上げる際に重要な役割を果たし、作品に繊細さと複雑さを加えるための道具として用いられます。

ノコギリ

氷彫刻用のノコギリは通常の木材用ノコギリよりも歯が粗く、氷を効率的に切断することができるように設計され、糸ノコ・300㎜・480㎜～600㎜位の小・中・大の大きさのものが主流になっています。ただ現在は夏場の一本氷を使用する大会などでは大きいノコギリを使用いたしますが、冬場の大きな作品を作る大会やイベントにおいてはチェンソーが使用され、大きいノコギリは氷を併せる時に使用するなどになっています。

ドリル

氷彫刻の際に使用されるドリルビットは様々な形状があり、そのほとんどはアメリカで作られ輸入しているものです。これらのドリルビットの先端部は様々なサイズや形状で、日本製の高出力のモーターを備えたドリル本体と合わさり微細なディテールから大きな形状まで幅広いデザインを実現させるのに使用されており、現在は世界中の氷彫刻家が使用しており、氷彫刻の技術において、これらのドリルは重要な役割を果たしています。

チェンソー

氷彫刻の世界ではチェンソーが欠かせない道具になっています。これらのチェンソーは氷の大きなブロックを効率的に切り出すのに最適であり、細かい彫刻にも使われることがあります。チェンソーを使うことで大規模な作品を迅速に作ることが可能になり、氷彫刻家にとっては大きな時短になります。電源設備がある所では電動チェンソーを使用できますが、無い所ではエンジンチェンソーを使用しなければならず、その辺の問題をクリアーしなければならない大会などもあります。また海外の大会に出場する場合などは国内と海外の電圧の違いをクリアーすることもできなければなりません。

氷彫刻を制作する上では、従来からある平ノミ・三角ノミ・ノコギリなどに加え、チェンソー・ドリル・アルミ板などが必需品となり、また各人の創意工夫により今まであった道具を加工して自分に合うようなものにするなど、多くの道具が造られてきました、これからもどのような道具が出てくるか楽しみなところではあります。